土地を貸す際の借地料(地代)相場のまとめ! そもそも相場ってあるんですか?

土地を貸す際の借地料(地代)相場のまとめ! そもそも相場ってあるんですか?

土地を貸す際の借地料(地代)相場のまとめ! そもそも相場ってあるんですか?

土地を貸していますが何年も地代の見直しをしていない、地代の値上げや値下げの相談はどこにすればよいのか、このような疑問や悩みを抱いている方もおられるでしょう。

社会は日々変化しており、それに伴い地価の変動・公租公課の変化などによって地代の相場も変化します。現在受取っている地代が相場より大幅に安くなっている可能性もあります。

地代や家賃についてのルールを定めた借地借家法では、租税公課や地価の変動などによって近傍の相場に比べて不相当に安くなったり高くなった場合には、地代・家賃の増額や減額請求権が認められています。

今回は地代の相場はどのように調べるのか、もし増額や減額が可能であれば、どのような形で交渉を進めていけばよいかなどについてご紹介していきたいと思います。

地代・借地料の相場

地代・借地料とはいわゆる賃料のことですが、次の2つの定義があります。

(1)新規賃料=宅地を新規に貸し出す賃料。土地のオーナーが貸し出す際に希望する賃料を広く市場に情報提供しますので、容易に地代の相場を把握することができます。

(2)継続賃料=すでに継続中の土地賃借権の契約賃料。通常地代・借地料の相場とはこの継続賃料のことを指しています。継続賃料は当事者間の個別的な交渉によって決まりますので、こうした情報は公開原則の裁判で争わない限り表に出ることはなくいわば水面下での話がつけられますので、地代・借地料の相場については、不動産鑑定士などの専門家の力を借りることも重要な選択肢になることでしょう。

2.地代・借地料の相場の計算方法の一つに固定資産税の倍率から求める方法があります。

しかしながら、地代・借地料の相場は固定資産税の何倍といった説をもとに議論を進てしまうと、適正な地代・借地料を見落としてしまう可能性があります。

固定資産税の倍率から求める方法(公租公課倍率法)

公租公課倍率法とは、地代・借地料と固定資産税の間には一定の関係があることに着目して計算する方法です。公租公課の本来の意味は、税金その他の公的負担金のことですが、ここでは固定資産税と市計画税(固定資産税等)のことを指します。

固定資産税等は土地・建物などの不動産に対して課税される税金です。

公租公課倍率法の計算式

固定資産税等(年額)×倍率÷12ヶ月=月額地代・借地料

たとえば年間の固定資産税等の額(実際に納付する額)が7万円、地代・借地料の相場を示す倍率が2.5とすれば、70.000円×2.5÷12ヶ月=14.580円となり、月額地代・借地料は

14.580円になるのです。

不動産鑑定評価基準に記載のない手法

しかしながら、実はこの公租公課倍率法は、国が認める不動産評価の標準的な手法を定めた「不動産鑑定評価基準」において、賃料を定める手法として記載されていないのです。

なぜならこの手法はその計算式がシンプルでわかりやすい反面、単純な倍率判断のために誤った計算結果が出てしまうことがあるからです。

倍率の根拠が疑わしく、契約当事者の事情を考慮しておらず、税額軽減の有無によって結果が変わり、地代・借地料は税制度によってではなく本来土地の価値によって決まるものであるからです。

固定資産税等をもとに話をするのは、交渉相手にもわかりやすい手法であるように思われますが、問題が多いのも事実です。

適正な地代・借地料の相場は、実際は個別の物件ごとに違ってくるものです。地代・借地料の交渉において、固定資産税等の金額の倍率に主眼を置くと、却って適正な地代・借地料の相場を見落とすことになりかねません。

しっかりと交渉していくためには、地代・借地料の相場に詳しい不動産鑑定士に相談することをお勧めします。

更地になると税金3.6倍

たとえば借地権が戻ってきたので駐車場に変更した、あるいは借地人から間借りした店子が商売をはじめたなどの場合において、固定資産税等の金額が昨年と比べて大幅に上昇していたといった経験はありませんか。

宅地上の建物が住宅であれば、住宅の軽減措置が適用されるのですが、更地にして駐車場にするなど、住宅として使用しなくなると軽減措置が適用されなくなるのです。

この住宅の軽減措置の適用の有無で、毎年の固定資産税等の金額が大きく影響され、約3.6倍も上昇するのです。ただし以下の要件を満たす場合に限られますので、この倍率を活用する場合は確認してください。

(1)固定資産税は市町村が課す税金で、毎年1月1日現在の土地・建物の所有者に対して課税されます。税額については、市町村が定める評価額に対し、原則として1.4%の税率を乗じて計算されます。

都市計画税は同じく市町村が課す税金で、都市計画の整備に充てるために、原則として市街化区域内の土地・建物の所有者に対して課税されます。市街化区域とは、市街化を促進すると行政上定められた区域のことです。

税額については、評価額に対し、原則として0.3%の税率を乗じて計算されます。税率は市町村によって異なりますが、0.3%が多いのです。

住宅の軽減措置については、住宅は生活の基盤であることから、住宅に利用している宅地には固定資産税等の軽減措置が設けられています。

固定資産税では、宅地の200㎡以下の部分の評価額の6分の1、200㎡を超える部分の評価額の3分の1となります。また都市計画税では、宅地200㎡以下の部分の3分の1、200㎡を超える部分の評価額の3分の2となります。

(2)固定資産税の評価額

200㎡以下の宅地の固定資産税の評価額を30,000,000円とすれば、

固定資産税路線価3.000.000円×地積100㎡=30.000.000円

(3)住宅の軽減措置を適用した固定資産税等の査定

この評価額に住宅の軽減措置を適用すると、次のように年間固定資産税等の金額は10万円になります。

イ、固定資産税=評価額30.000.000円×負担調整0.7×税率1.4=294.000円.

ロ、都市計画税=評価額30.000.000円×負担調整0.7×税率0.3=63.000円

ハ、合計   固定資産税294.000円+都市計画税63.000円=357.000円

なお負担調整とは、税負担が急激に大きくならないように評価額を緩和するための率です。ここでは0.7を採用しています。

以上の計算の通り住宅の軽減措置がなくなると、固定資産税等の金額が10万円から35.7万円になります。負担調整の数字にも左右されますが、概ね3.6倍上昇すると覚えておきましょう。土地の有効活用を検討する場合においても、この計算方法を知っていれば何かと便利です。

地代・借地料の相場は固定資産税の3倍説

地代・借地料の相場について質問がある場合においては、まずは借地契約の契約の内容を詳しく精査した上で、適正な手続きのもとで計算して求められた賃料が地代・借地料の適正な金額です。

したがって正確な地代・借地料の相場を求めようとすれば、地代・借地料の相場に詳しい不動産鑑定士などの専門家のアドバイスを受ける必要があります。

要するに地代・借地料の相場は税制度によって決まるものではなく。本来土地の価値や価値や地価の推移によって決まるものなのです。

ちなみに法人税において、非営利法人の住宅貸付という行為がシ収益事業であるかどうかについて判断基準を設けており、地代・借地料の金額が固定資産税等の3倍以上かどうかとなっています。

つまり固定資産税等の3倍が収益事業の最低ラインであるとしています。したがって土地の貸付けを収益事業として考える場合の地代・借地料の相場は、固定資産税等の最低3倍ということになります。

固定資産税3倍は安すぎる説

固定資産税等の金額は評価額の1.7%です。住宅用地の軽減措置が適用されると、固定資産税等の金額は更地や商業利用地と比較して約4分の1です。固定資産税等の金額は評価額の0.425に相当します。(計算式 0.425=1,7÷4)

地代・借地料の相場の相場を固定資産税等の3倍とすれば、地代・借地料は評価額の1.775%に相当します。(計算式 0.425×3=1.775)

このうち固定資産税等を除いた2倍相当する0.85が地主の儲けに相当します。

(計算式 0.425×2=0.85%)

つまり利息が0.85%と同じ意味になります。実際の土地の時価は、この評価額よりもずっと高くなりますので、正確に計算した利率はもっと低くなります。銀行の預金金利よりは多。少良いでしょうが、不動産という元本から生み出す利率としては低すぎると考えられます。

なお不動産鑑定においては、借地契約ごとの個別的な事情を考慮しますので、利率に関しては一概には言えません。地代・借地料の相場については、難しい要素が多いために、気になることがあれば、不動産鑑定士などの専門家のチェックを受けてみてはいかがでしょうか。

地代・借地料鑑定例

以上述べたように適正な地代・借地料の相場は個別契約ごとにバラツキが大きいものです。

(1)所在地 東京23区(城南エリア)

  地域種別  商業地 地積規模  250㎡(小規模住宅)

  鑑定結果  公租公課倍率  8.7倍

不動産鑑定士のコメント

駅前商店街に店舗付共同住宅が建つ事案。住宅軽減の適用により周辺の宅地よりも公租公課が大幅に低いために高倍率となったが、地代水準は近隣店舗のものと変わらない。

 

(2)所在地 東京23区(城東エリア)

  地域種別  住宅地 地積規模  64㎡(小規模住宅)

  鑑定結果   公租公課倍率 7.4倍

不動産鑑定士のコメント

地価が高いわりに、住宅軽減の影響で公租公課の金額が高い事案。そのために公租公課倍率は高くなった。長年にわたり地主の努力が功を奏した。ただし地価に対する利回りは決して高くない。

 

(3)所在地  東京23区(城北エリア)

地域種別  住宅地   地積規模 370㎡

鑑定結果   公租公課倍率 3.0倍

不動産鑑定士のコメント

現行の公租公課とほぼ同じ水準の本事案。契約に疑問を感じた地主が先代の相続を契機として従来の借地関係を見直しを決意。鑑定結果をもとに借地人と話し合い、最終的に裁判所の調停制度を利用して3.0倍となった。

 

(4)所在地  さいたま市某市

  地域種別  商業地 地積規模  250㎡(非住宅)

  鑑定結果   公租公課倍率 4.7倍

不動産鑑定士のコメント

相続不動産である土地を妹、その土地の上に建つ家屋を姉が相続したことで借地や地代問題に発展した事案。不動産鑑定書をもとに調停制度を利用して解決に至る。

 

(5)所在地   東京23区(城東エリア)

  地域種別  商業地 地積規模  130㎡(非住宅)

  鑑定結果  公租公課倍率  4.8倍

不動産鑑定士のコメント

堅固建物所有目的とする期間60年の借地契約であり、更新料の授受もない。

以上の通り隣接する借地同士であっても、それぞれの契約相手・契約に至った背景・契約期間・利用状況・信頼関係・賃料設定時期・更新料受領の有無などと異なりますので、もちろん適正な地代・借地料も異なります。

このように適正な地代・借地料を求めるためには、不動産鑑定によるほかはありません。

値上げ画あだとなり返り討ちに

昔から貸している土地の地代・借地料が現在では不相当に安くなっていても、いざ値上げの申し出をする際には、どのくらいの金額が妥当なのだろうか。逆に減額されないだろうか、などの不安を感じるものです。

地代・借地料に関する交渉を成功させるためには、相手も納得できるしっかりとした説明が必要になります。でなければ相手もやすやすと了承しないでしょう。地代・借地料に関する交渉のポイントは、法律論ではなく、必要なのは弁護士による交渉術ではなく、不動産鑑定士の意見なのです。

一体どれくらいの値上げの金額が適正であるのかなどのアドバイスを事前に不動産鑑定士から受けるとよいでしょう。

借地契約の内容・個別事情を詳細に調査をして、現時点では強気な交渉はできないことが判明し、あまり無理強いすると今度は返り討ちあうかもしれませんよというアドバイスを受けました。以上のような判断は個々の借地契約によって違います。

値上げ請求をしたところ、逆に相手から値下げ請求をされてしまう可能性もあります。地価が上昇しているときでも、借地契約によって必ずしも値上げのベストタイミングであるとは言えないこともあり、逆に地価が下落しているときでも、簡単に値上げの請求が通ることもあります。

地代・借地料の相場の判断には複雑な要素が多いため、気になることもあれば不動産鑑定士などの専門家に相談してみましょう。

地代・借地料交渉の進め方

地代・借地料交渉において最初にすべきことは、配達証明を付けて内容証明郵便を送ることです。法的には地主が値上げを請求すれば、「直ちに地代・借地料の額が変更」されることになりますので、配達証明を付けた内容証明郵便は、いつから変更されたかを示す証拠として有効です。通常の手紙の場合には、届いていない、その内容を忘れてしまったなどと借地人が値上げの時期を遅らせようとしたり、交渉を引き伸ばす可能性があります。

なおその場合でも、お互いの合意が成立するまでは、借地人は従前の地代・借地料を支払っている限り契約違反にはなりませんが、合意が成立して値上げ後の金額が決まれば、最初に請求した日に遡って値上げが開始します。

すなわち配達証明付内容証明郵便を相手方に送付してから具体的な交渉を開始するわけです。それでも折り合いがつかなければ、裁判所の調停制度を利用します。

調停について

調停は地主と借地人との間に裁判所が入って話し合う手続きで、裁判官1名と調停委員2名。主に弁護士や不動産鑑定士などの専門家が担当します。それでも合意が成立しない場合には、訴訟の手続きに持ち込むことになります。訴訟は複雑な手続きや書面を提出しなければならないことから、弁護士に依頼する必要があります。

まとめ

地代・借地料交渉のポイントは、適正な地代相場に関する資料を準備することです。それと、自分で判断せずに信頼できる専門家を見つけてアドバイスを仰ぐことです。

地代交渉に必要なものは、正しい知識と地代相場の把握です。とはいえ、知識や調査力を自分で養うことも必要ですが、それには膨大な時間と労力を要します。また、実務経験が乏しいと、思わぬ失敗を招くことも少なくありません。

地代交渉を成功させるためにも、専門家のアドバイスが必要なことでしょう。

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